「○○さんしか分からない」は危険信号
- 舩生 好幸

- 1 日前
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~業務情報やノウハウは個人に留めず組織で共有する~
投稿:舩生好幸(仕組みづくりアドバイザー、JRCA登録QMS審査員補)2026.7.27

「この仕事は○○さんしか分からない。」
「この取引先との経緯は○○さんしか知らない。」
「このソフトウェアは○○さんしか扱えない。」
このような状況は、中小の事業者様ではありがちかもしれません。
これらは有能で、経験豊富なメンバーが事業を支えている証拠、かもしれませんが、
そこには「属人化」と呼ばれる大きな経営リスクも潜んでいます。
もし、これらの有能で頼れるメンバーが、急に病気やアクシデントで業務に従事できなくなったら、或いは、急に職場を去るような事態になったら、いかがでしょうか。
取引先への対応が遅れたり、製品やサービスの品質が維持できなくなったり、最悪の場合には事業そのものが止まってしまう可能性は、ないでしょうか。
〇業務情報やノウハウは大切な企業の経営資源。組織的な共有への努力を
顧客情報や技術資料、業務手順、見積書、契約書など、企業が持つ業務情報、そして業務ノウハウは、日々の仕事の中で蓄積される大切な経営資源です。
これら業務情報やノウハウは、共有=必要とするメンバーや組織が必要なときに利用できる状態にしておくことで企業の力になります。
一方、重要な情報・ノウハウにもかかわらず、特定の個人しか内容を理解していない・所在を知らない、そんな状況にあれば、組織として大切な経営資源を十分活かせていない可能性があります。
企業の業務情報・業務ノウハウは、極力、組織的に共有し利用できる環境を作り上げる必要があります。
〇情報やノウハウの組織的共有が生み出すさらなるメリット
業務情報・業務ノウハウを組織的に共有することは、属人化リスクを減らすだけではありません。
以下のようなメリットもあります。
・新しく着任する社員・スタッフの教育に業務情報やノウハウを活用しやすくなる
・同じ情報にアクセスできることで複数名の担当者が協力しやすくなる
・過去の経験や失敗に関する情報・ノウハウを「教訓」として次の業務へ活かせる
これは、生産性の向上や技術の継承にもつながる大きなメリットです。
〇情報やノウハウを組織的に共有するための第一歩は
情報のボリュームや、利用する組織数・メンバー数などにもよりますが、
中小の事業者様であれば、業務情報やノウハウの組織的な共有を徹底するため、情報管理のための高価なITシステムなどは必要ない場合も多いと思われます。
また「個人の頭の中のノウハウ」を共有できるよう具体化することは長年課題でしたが、近年デジタルカメラやスマホ、タブレット等の身近な機材で、作業の様子などを写真やショート動画で保存・共有することも容易にできるようになりました。
以上より、例えば、
・業務手順などのノウハウは共有のため簡潔な文書・箇条書き程度のメモにまとめる
・ノウハウを文書化しにくい場合は写真や動画で作業の様子・出来上がりなどを記録する
・取引先との重要なやり取りはメールエイリアスなどを活用し、一人の担当者だけでなく複数メンバーで共有する
・文書・記録の「正規版」の保管場所は特定のサーバーや書庫等に統一・集約する
・検索を容易にするため命名ルールを統一する
といった手近な方法を用いることから始めることも可能です。
こうした小さな積み重ねが、会社の知識や経験を将来へ引き継ぐ財産を生み出します。
〇独自の情報・ノウハウを提供してくれる社員への十分な配慮も
情報の属人化を解消する取組みを進める際、独自の情報・ノウハウを提供してくれるベテラン社員や優秀な社員から、
「自分の仕事や居場所が奪われるのでは?」
「これまで自分独自だった情報やノウハウを手放したら、評価が下がるのでは?」
など、不安に思われたり、共有の取組みに消極的であったり抵抗される場合もありえます。
これに対し、経営者や当該社員の管理者は、
この取り組みは、組織として発展・成長するためには欠かせない取り組みであること、
そして、
「現在のあなたへの過度な負担を減らした分、あなたの能力や経験を、高い評価が得られる新しい業務や、より組織に貢献できる業務で引き続き活かしてほしい。今後もあなたの貢献を期待している。」など、丁寧に説明し、当人の理解や納得を得る必要があります。
さらに、個人の独自ノウハウを組織に提供・共有してくれた貢献に対しては、内容に応じ、人事面でのプラス評価や報奨金などインセンティブを与えることも考慮すべきでしょう。
独自ノウハウを有する有能な社員に対する正当な評価の実施、明確な感謝の表現などは、属人化対策を成功に導く重要な考慮点になると思われます。
〇まとめ
「○○さんしか分からない」という言葉が職場で当たり前になっていないでしょうか。
それは、企業として改善すべき課題=「属人化」の存在を示す言葉です。
企業の業務情報・業務ノウハウは企業に属する大切な経営資源です。
その情報を共有し、活用できる仕組みを整えることは、企業の継続と成長に必須の要素といえるでしょう。
これまで特定の個人だけに留めていた知識や経験を、
これからは組織全体で共有し活用できるようにすることが、
中小の事業者様にとっても、必要かつ重要な取り組みといえるでしょう。
(Primary-f 代表)
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