投稿:舩生好幸(ISACA認定CISA、IPA登録 セキュリティプレゼンター)2023.10.10
(更新:2024.9.6)
不要になったコピー用紙などの裏面に再度印刷して活用することは、コスト削減や資源の再利用の観点からは好ましい対応なのですが、
情報セキュリティの観点で申しますと、情報漏洩のリスクが増す可能性もあります。
個人情報などの機微な情報や、組織の非公開情報等が書かれている紙媒体は、裏紙として再利用することを避けることが情報漏洩インシデントの低減につながります。
近年、マスメディアに以下のような記事が掲載され話題となりました。
〇大学の就職相談の記録、流出は最大800人超か…カウンセラーが自宅に持ち帰り、裏紙に再利用(東京新聞Web版・2023年8月)
これは、
某大学の学生の就職相談の記録(氏名、学年、電話番号、志望動機等が記された紙媒体)が外部企業から派遣された就職カウンセラーによって学外に持ち出され、その後、裏面に英語教材を印刷して再利用されていた、という事案です。
大学によれば800名以上の学生の相談記録が学内で確認できておらず、漏えいした可能性があるとして調査を進めている、という報道がありました。
〇大手航空会社も「裏紙」で内部文書流出か パイロットのパスポート番号、生年月日まで(東京新聞Web版・2023年8月)
こちらは、
大手航空会社の内部文書とみられる書類が外部に持ち出され、前項と同様に英語検定の問題が印刷され教材として再利用されていました。
書類は3種類あった模様で、国際線のパイロットとみられる名簿には、氏名、生年月日、パスポート番号といった個人情報が記され、航空会社の社印が押されていたとのことです。
この航空会社の元パイロットより「安全に関わる機密情報とまでは言えないが、情報管理上、非常に問題だ」との指摘があったとのことです。
〇裏紙の再利用時は「裏面に何が書かれているか」にも注意を
以上の事案はある意味、極端なケースかもしれません。
ですが一方で、
「資料のドラフト版などを裏紙に印刷して渡されると、表面より裏面に印刷されている内容の方が興味深く、気になる。」といった声を、私自身も以前の職場で聞いたことがあります。
再利用している当人以上に、その再利用中の裏紙を見た人は、裏面に書かれている情報に敏感に反応する、とも言えそうです。
裏紙としてコピー用紙等を再利用する際、個人情報や組織の機密情報等、機微な情報や非公開の情報が書かれているものを避けることが情報漏洩インシデントの可能性を低減します。
*関連ブログ:職場のごみ入れに何を捨てていますか?
(Primary-f/向実庵 代表)
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