プロ以外にも「演奏のエキスパート」が多数存在する我が国
- 舩生 好幸

- 2025年3月30日
- 読了時間: 4分
更新日:3 分前
~高度な演奏を目指し日夜努力するアマチュア演奏家を正しく理解する~
投稿:舩生好幸(ファゴット愛好家・研究家)2025.3.30
(更新:2026.3.15)
海外の著名な指揮者や演奏家などが来日した際、国内の市民オーケストラや大学オーケストラなどアマチュア団体の演奏に触れ、彼らがプロに迫るような高度な演奏を展開する様子が評価される例は、数多くあると思います。
すぐ思い出す例を書いてみますと、
昭和の時代の1979年、ヘルベルト・フォン・カラヤンが来日した際、早稲田大学交響楽団を指揮・指導した例がありました。
平成のころ、著名なオーボエ奏者ハンスイェルク・シェレンベルガーが、当時開催されていた大学オーケストラ大会の審査員で招かれた際にも、その演奏レベルの高さを評価していたと記憶しています。
2023年には、キリル・ペトレンコ指揮のもと、日本のアマチュア音楽家がベルリン・フィルのメンバーと共にコンサートを行なうという企画もありました。
上記は特別な例かもしれませんが、普段の活動でも、私達の身近で高水準な演奏を聴かせるアマチュア演奏団体が数多く存在しています。
著名なところでは、作曲家・指揮者の故・芥川也寸志氏と強いかかわりのある新交響楽団がそうでしょうし、
吹奏楽コンクール全国大会や地区ブロック大会の常連で、定期演奏会などでも完成度の高い演奏を聴かせる中学・高校・大学・職場や一般の団体が、全国各地で活動しています。
〇プロ以外の「演奏のエキスパート」も明確に定義し理解されるべきでは?
プロではない彼らも、「市民演奏家」「社会人演奏家」「学生演奏家」など、趣味のレベルを超えた「演奏のエキスパート」として明確に定義し、認識するべきではないか、とよく思います。
といいますのも、
演奏レベルが上がるほど、演奏から得られる喜び・楽しみも増えますが、
同時に高い演奏レベルを達成・維持するために、
・社会生活をある程度犠牲にして練習時間と場所を確保
(平日は仕事や学業の後、夜間に集まって練習。週末も、家族や周囲の理解を得ながら練習時間と場所を確保。)
・高額な楽器の購入や保守費用を負担
(新しいクルマ≒新しい楽器。数百万円に及ぶ高価な買い物)
・演奏するメンバー間の方向性や意見の不一致を練習や話し合いを通じて克服
等々
一般の方からみれば、その意味や価値が理解しにくいことにもこだわり、数々の負担や苦労、葛藤などにも立ち向かい、乗り越えていかねばならないからです。
それら演奏にまつわる負担や苦労も、一般に演奏レベルが上がるほど増すことが多いでしょう。
〇長い時間の地道な活動が「まるでプロのような」優れた演奏を生み出す
そのような、趣味で始めたとはいえ楽しいばかりでは済まない、苦労も多い地道な活動が、演奏会の当日には、
「まるでプロのような」優れた演奏や感動的な演奏を聴き手に届けることにつながります。
そういった社会的にも意義のある活動を行う人たちは、今以上に多くの方の理解や支持があってしかるべき、そう思うのです。
〇職業演奏家ではないけれど、「演奏のエキスパート」が存在することを、自・他ともに認識すべきでは?
上記のような方々は、それぞれの地域やコミュニティにおいて、活きた演奏を届けてくれる、貴重な存在であろうと思います。
「職業にしていなくとも、私たちは演奏のエキスパート。周囲の人たちにとっても私たちの活動は価値がある。なぜなら、私たちは聴き手に素晴らしい音楽を届けるから。」
そのような矜持や想いを、市民演奏家の皆さんも、その周囲の皆さんも、大切にしていただきたい、共有していただきたい、そう思います。
(Primary-f&向実庵-音楽工房・代表)

<ご案内>
〇向実庵-音楽工房 https://www.primary-f.net/studio-kojitsu
・当店の代表が長年取り組むファゴットの演奏に関する出版・情報提供などのサービスも行っております。



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