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執筆者の写真舩生 好幸

分散和音のトレーニングの効用

更新日:1月8日

投稿:舩生好幸(Primary-f/向実庵代表、ファゴット愛好家・研究家)2024.1.7


分散和音に基づくフレーズは、美しく、そして印象的です。

独奏曲や協奏曲では、速いテンポの分散和音に基づくフレーズで、ソリストの技巧をアピールする場面がよく登場します。


ファゴットの作品ですと、サン=サーンスのソナタ(Op.168)や、モーツァルト(KV.191)やヴィヴァルディの協奏曲に頻出します。


これらの作品に取り組みたい方は、分散和音のトレーニングは普段から行う必要があると言えます。


また、私達市民オーケストラのファゴット奏者におなじみの楽曲の中にも、分散和音に基づく音形は登場します。例えば、


ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」の第3変奏では、フルートとファゴットの1番同士、2番同士の掛け合いで、穏やかな雰囲気の分散和音のフレーズを演奏します。


サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」第2楽章の終盤でも、フルートとファゴット(バソン)の1番同士が、この楽章で象徴的とも思える分散和音のフレーズを(合計2小節と短いですが)オクターブユニゾンで演奏します。


〇日課で取り組む分散和音の練習パターン例

普段から、長調ならばドミソドソミ…、短調ならラドミラミド…など、分散和音の基本的なトレーニングを12の調&全音域を使って練習しておくと、呼吸筋や指使いの柔軟性を養うことができ、楽曲中に少々ややこしい形で登場してもあわてずに済みます。


その結果、いわゆる「初見力」も向上すると思います。


以下に、トレーニングのための楽譜例を少しご紹介します。


分散和音-長調の日課練習・冒頭部分(デイリートレーニング集より)
分散和音-長調の日課練習・冒頭部分(デイリートレーニング集より)

分散和音-短調の日課練習・冒頭部分(デイリートレーニング集より
分散和音-短調の日課練習・冒頭部分(デイリートレーニング集より

上に掲げた楽譜はいずれも冒頭部分です。

長調・短調いずれも半音ずつ上昇し、2オクターブ上のD-durおよびd-mollまで行って最高音域もトレーニングできるよう書いてあります。


また、上記楽譜に関する考え方のご紹介ですが、

長調を例にとると、ドミソは各々3度進行ですが、うちド→ソを見ると5度、さらに上に行くソ→ドは4度で下りも同様、ド→ドの間は8度です。


この楽譜に基づく分散和音の練習の中には3・4・5・8度の跳躍の練習が包含されていると考えることもできると思います。


〇日課練習の一環に分散和音の練習も

日課練習では、ロングトーン、タンギング、スケール、と練習を進めた後に、分散和音の練習を行うと、すでに体が温まっているため、効率よく、短時間でさらうことができると思います。


最低音域から最高音域まで、12の長調と12の短調で分散和音をさらうことを習慣にしておくと、演奏の際の柔軟性が増し、初見力も向上します。

ぜひお試しを。


(Primary-f/向実庵 代表)



追伸:上記に掲載した楽譜例の全ページは、私共が取り扱う「デイリートレーニング集」に第2.(3)項及び第2.(4)項として掲載しております。下記商品ページのリンクよりご購入も可能です。


<ご案内>「デイリートレーニング集」 市民オーケストラなどのアマチュアFg奏者のご利用を想定した練習曲集です。 ロングトーン、発音練習、音階、分散和音等を12の調&3オクターブ超の音域でトレーニングできます。楽曲の練習前にウォーミングアップが効率よく進められます。


 詳細は下記URL(ネットショップ向実庵)へどうぞ。 http://hrmkjts.base.ec/categories/4878050





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